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その1

毎月分配型ファンド、逃げるときは早く


毎月分配型ファンドの人気が続いている。
人気の火付け役となった国際投信投資顧問が運用する通称グロソブ(グローバル・ソブリン・オープン毎月決算型)は、とうとう純資産残高が1兆5千億円を超えた。国民一人当たり1万円はこのファンドに投資している計算である(もちろん、全国民が買っているわけではないが…)。

このファンドの人気にあやかろうと、一昨年あたりから毎月分配型のファンドの設定が増加し、いまや一大ブームとなっている。
たしかに毎月一定額の分配金を受け取れるというのは、利息禁断症状がでているともいえる現在の日本人には魅力的だ。分配金だけで年6%程度の利回りが得られる商品は、どこを探してもない(しいてあげれば、不動産投信くらい)。余裕資金の運用に困っている高齢者を中心として持続的な購入者が後を絶たないのも当然だろう。

しかし、これまで、これらの毎月分配型のファンドの運用成績が比較的よかったのは、ひとことで言うと、環境がよかったからでしかない。
2000年の春以降、世界的に株価が下がりはじめた。そして、2001年9月の同時多発テロ、2002年のイラク・北朝鮮問題など、世界的な流れとして株式市場から債券市場へと資金が流れたのである。さらに、2002年からの円相場の膠着状態もこれらのファンドにはゆるやかな追い風となった。


毎月分配型ファンドの多くが外貨建ての債券で運用しているため、本来であれば、為替リスクや債券相場の変動によるリスクが存在する。分配金がもらえるにしても、肝心の元本部分が大きなリスクにさらされているのである。しかし、それが表面化しない方向で、というよりプラスに働く方向で、相場が動いてきたのだ。

さて、問題はこれからである。とりあえず、これまでは資金流入が続いたこともあり、きちんと分配金を出せたわけだが、円相場が急激に円高になったり、世界的な株式市場の好転が起きたりすると大変だ。一転して資金流出が起こり、分配金が出せなくなるどころか安定した運用もおぼつかなくなる可能性もある。

目先的には、その心配をする必要はないかもしれないが、近い将来、そのような事態がおきてもおかしくない。毎月分配型ファンドを年金の足しにと、長期保有をすすめる販売担当者がいるかもしれないが、個人的には、マーケットの動向を見ながら、短期で売却するくらいのスタンスが無難だと思う。現在これらのファンドを保有している人は、純資産残高の変化に注目すべきだ。減少傾向に転じたら、解約を検討したほうがいいだろう。

(2003年4月24日)


ここに記載された内容は、あくまでも筆者の個人的な見解です。投資に関する最終的な判断は自己責任のもとにご自身でなさってください。万一、内容についての誤りや内容に基づく損害を被っても、筆者は一切責任を負いかねます。



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